「茶」のはじまりは、神話や伝説、そして古の時代からの痕跡や古文書等から、世界中へ広がっていく様子などを過去の記事で確認しました。
そして今回の記事は、紅茶の誕生に関する内容についてです。
過去記事はこちら:
紅茶が誕生するまで
いよいよ紅茶の誕生にまつわる内容です。
紅茶が出来たのは、船で運んでいる時に、船内の温度が上がって茶葉が発酵し、そこから香りのよい紅茶として偶然発見された、なんていう話も聞いたことがあるかもしれませんが、果たしてその真相やいかに?!
茶の分類
紅茶はもちろん、緑茶やウーロン茶は、それぞれ茶の成る樹があるわけではありません。
どれも同じ樹の生葉を用いて作られる世界的な飲料です。
強いて言えば、紅茶向きの品質の茶樹を選んで製造しているといったところでしょうか。

紅茶の場合、インド、スリランカ、アフリカの地質、気候風土が適しています。
基本的に分けて考えるべきポイントは、製茶方法が異なるというところです。
さらに言えば、茶葉の表皮細胞に含まれている酸化酵素(ポリフェノール・オキシダーゼ)を活性化させるかさせないか、させるならどの程度か、といったことが重要です。
酸化酵素の働きをフル活性させれば紅茶に、まったく活性化させなければ緑茶に、一部或いは半分の割合で活性化させればウーロン茶になります。
・フル活性化→紅茶
・活性化なし→緑茶
・一部から半分程度の活性化→ウーロン茶
おそらく緑茶が最も古典的な製法だと思われますが、明確な工程や管理がほとんどなかったことから、ある意味偶然とでもいえる自然発生的に酸化発酵が起こったことにより、ウーロン茶や紅茶もどきができたという見方もあるようです。
ちなみに、日本も中国も緑茶がメインに製造されていますが、初期工程の製法には違いがあります。
水蒸気を生葉にあてて蒸す日本の製法に対し、中国、または台湾では、生葉を釜で炒るという製法になります。
あとはほぼ共通して、葉を冷却して、揉捻、乾燥してできあがっていきます。
烏龍茶は中間的存在?

烏龍茶にも触れておきましょう。
烏龍茶の立ち位置は、紅茶と緑茶の間で、紅茶が全発酵茶、緑茶が不発酵茶で、烏龍茶は”半発酵茶”という区分です。
16世紀の明の時代には原型が既にあったとされ、17世紀に入り、中国福建省の武夷(ブイ)山地区というところで、 武夷茶(ボヒー、或いはボヘア)として登場しています。
紅茶登場
紅茶が登場するのは18世紀です。
中国福建省の武夷茶の製法を進化させ、工夫紅茶(コングー)が造り出されました。
海外市場の中でも、イギリスでは特に人気が出ます。
新芽だけを選んで、十分に萎凋し、指先で一本ずつ巻き上げ、炭火を燃やしてその上で竹籠の中で葉をほぐしながら乾燥させます。
茶葉の外観が黒いことから、ヨーロッパ市場ではブラック・ティーとして名づけられました。(緑茶はグリーン・ティー)

“工夫”は、「人の手間がかかる」の意味です。
当初は火加減が出鱈目で、出来の良し悪しがかなりあったそうですが、後に改良されています。
紅茶の誕生といえば、船で茶葉を運んでいる途中に、高い温度と湿度で茶葉が発酵され、香りがよくなったことから偶然発見された、などという面白い話を聞いたことがあるかもしれませんが、どうやらこれは事実ではないようです(笑)
実際ありそうな話ではあるんですが、根拠は無いそうです。
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