2020年に自分自身の目標として立てた、月に1冊の本を読むは一応達成できたと思います。
なかなか読書が苦手な自分にとって、頑張ればできそうなことをなんとかできたのは良かったかなと思いますし、2021年も続けるべきなのかどうかを決めかねていますが、ペースはともかく、本を読むことはやめないようにします。
というわけで、昨年の12月に読んだ本『逝きし世の面影』の記事になります。
逝きし世の面影
京都生まれの日本近代史家、渡辺京二氏による大冊です。
異邦人によって多くの文献を渉猟し、それらが日本が失ってきたものの意味を根底から問う内容となっており、簡単に言えば、外国人から見た日本の姿がどのようなものであり、どのような意味ととらえ、失ったものや消えたものが、1800年代後期の日本の豊かさや幸せがどのようなものだったかを感じ取れる、いわば貴重な資料とも言えます。
感想
いわゆるよくある近代史ではなく、江戸時代の中~後期にかけての日本の姿が、外国人の視点や感覚から残された資料をふんだんに引用され、そのままの表面的な意味で完結するのではなく、近現代に至る日本が失ったある意味本当の豊かさや幸せがそこにあったのだと思わせる、 まさに逝きし世の眩さ、儚さにも感じられます。
豊かさ、幸せとはなんだろうかと改めて考えれば、昨今の資本主義の世界で生きる私たちにはさまざまな解釈があると思います。
しかし、子供から大人まで、豊かさや幸せが絶頂だったのは実は江戸時代だったんじゃないかと思えるくらい、外国人の目から見れば、皆が幸せそうだと記述しているそうです。
ただ、その見方は単純な絶賛ではなく、物珍しく自分たち外国人を見る目から行動、滞在していることで取り巻かれる環境が異様で特殊、中には批判的なものもありますが、独自の文化が発展、昇華された結果として、貧しさや華やかさに欠けていたとしても(欧州の豪華な装飾を連想)、この国(日本)には美しい風景や幸せそうな人たちがいたのだそうです。
明治、大正、昭和初期といったあたりの近代国家への流れが、あらゆる国力を高めて国際社会へ出た印象があったことで、単純なパワーアップが豊かさや幸せにつながらないにしても、それよりも前の日本の暮らしや文化的観点からの感覚を、一部でも少しずつでも取り戻すことができれば、今の我が国の状況がどうにかなるかもしれない(もちろん良い方向に)と期待してしまいます。

外国人の視点だからこそ、無垢な客観性も得られ、そこからの解釈を諭されているようにも思います。
21世紀、今だからこそ必要な書籍です。
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