メディカルハーブの活用は、ハーブティー、ハーバルバス、湿布などがありますが、他にもチンキ、浸出油、軟膏、パウダーといったものがあるので確認しておきましょう。
チンキ

ハーブの植物化学成分をアルコールで抽出する方法がチンキです。
水溶性と脂溶性両方の成分を取り出せるのが特徴です。
このほかも、アルコールを使うことで、成分の体内への吸収が早いことや、およそ1年という長期間の保存ができるのもメリットで、内用、外用に利用できるのも大きな利点になります。
内用チンキ
内用チンキは、少量のチンキを湯やハーブティーで薄めて内服する方法になります。
成分がよく吸収されるのと、アルコール作用によって体を温めます。
作り方は、ガラス製の広口の瓶に、規定量のハーブを入れて、ハーブが完全に浸る量のアルコールを注ぎます。
瓶のふたをしっかり締めて、1日に1回瓶を振って、中身を混ぜながら、2週間漬け込みます。
そして、茶こしまたはガーゼを使って保存容器に注ぎます。(保存は、冷暗所の置くこと)
内用方法としては、チンキ数滴をカップ半分程度の湯、またはハーブティーにたらして内服します。
外用チンキ
外用チンキは、内用チンキと同じ手順で作ったチンキを、精製水で4~10倍に薄めます。
用途により濃度が異なるのと、美容用として使うのであれば、植物性グリセリンを加えることもあります。
患部に塗布したり、ガーゼ等で湿布します。
希釈したチンキは冷暗所に保存して、1週間を目安に使い切りましょう。
チンキの注意点
長期間保存するチンキに使う保存用の瓶は、雑菌が入ってしまわないよう、必ず煮沸消毒し、光や酸化の影響で成分を変化させないため、遮光性のガラス瓶を使って、きちんと密閉し、冷暗所に置いておきましょう。
内服する際も、子供や高齢者はもちろん、アルコールを避ける必要がある人には、熱湯でアルコール成分を揮発させてから使いましょう。

保存中は小さな子供や高齢者が誤って飲んでしまわないように注意しましょう。
浸出油

植物油を使い、精油やカロチノイド、ビタミンEなどハーブの脂溶性成分を抽出する方法を、浸出油といいます。
浸出油は、主に外用で利用します。
スキンケア、軽度のやけど、傷などのケアで直接皮膚に塗布したり、マッサージ用オイルとしても使われ、ミツロウと混ぜて軟膏にもできます。
スキンケア、マッサージオイルの場合、植物油自体に含まれている成分との相乗効果が期待できます。
チンキほどではないものの、3ヶ月程度の保存が可能です。
温浸油
湯煎で植物油を加熱する方法が温浸油です。
時間をかけず、簡単に抽出できます。
作り方は、規定量のハーブを細かくしてボウルに入れ、ハーブが完全に浸る量の植物油を注ぎます。
水を入れた鍋を火にかけ、沸騰させ、ボウルをその湯につけて湯煎します。
ガラス棒で時折混ぜながら30分以上湯煎します。
その後、茶こしまたはガーゼを使ってこし、浸出油だけを保存用の遮光瓶に移します。
冷浸油
ハーブを植物油に常温で長時間漬け込むんで抽出するのが冷浸油です。
成分をより多く取り出すため、抽出中は温かい場所に置き、途中で新しいハーブに入れ替える場合もあります。
作り方は、広口のガラス瓶にハーブを入れ、ハーブが完全に浸る量の植物油を注ぎます。
瓶にしっかりと蓋をして、温かい場所に置き、1日1回瓶を振って中身を混ぜながら、2週間漬け込みます。
瓶の中身をガーゼでこして、ビーカーに浸出油だけを移し、ガーゼに残ったハーブも絞ります。
ビーカーの浸出油を保存用の遮光瓶に移して完成です。
浸出油の注意点
酸化に特に注意しましょう。
防止策として、使用する植物油におよそ10%の小麦胚芽油を加えることがよくあります。
保存においては、完全に密閉でき、遮光ガラス瓶を使うようにします。
また、漬け込み瓶の中のハーブが、完全に油に浸らせておくことも重要です。

空気に触れさせないことで、雑菌の繁殖を防ぎ、十分に抽出しましょう。
軟膏

ハーブの植物化学成分が溶けた浸出油とミツロウを混ぜて皮膚に塗るのが軟膏です。
市販の軟膏と同じ使い方です。
チンキ、浸出油などのほか、成分を長い時間皮膚につけ、ゆっくり作用させられるのが利点です。
また、皮膚の細菌の感染など、外部の刺激から保護する役目もあります。
作り方は、規定量の浸出油とミツロウを湯煎前のビーカーに入れ、水を入れた鍋を火にかけて沸騰させ、その湯につけて湯煎します。
よく混ぜてミツロウを溶かし、ビーカーを鍋から取り出し、さらに混ぜます。
固まってしまう前に保存用の遮光容器に移して完成です。
パウダー

ハーブを粉末にして、パウダーとして利用する方法もあるんですね。
薬のようにそのまま飲むのはもちろん、料理にふりかけて食べたり、パック剤で使うこともあります。
パウダーとクレイ(粘土)を水で練り合わせて、フェイスパックなどに利用するのがパック剤です。
ハーブの成分とクレイの洗浄作用もあります。
作り方は、規定量のハーブを粉末にし、さらに篩いかけ、規定量のクレイと合わせ、精製水で練り合わせ、水で粘度を調整します。
顔面をパックし、パック剤が完全に乾く前にはがして洗顔します。
また、パック剤とは別にゴマージュという、水を含ませたハーブのパウダーで肌の古い角質をこすり取る方法があります。
作り方は、ハーブを粉末にして、さらに篩いにかけたハーブを手に取って、水またはハーブティーを少し含ませて、よく練り合わせます。
そのままひじなどの角質をこすります。

全ての植物化学成分を利用できるというのが、パウダーのメリットです。
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