なるべく小難しいことはこのブログで書きたくありませんが(なにせ私自身が小難しいことを理解できないのでw)、紅茶が私たちの口に入るまでの流通のことを知っておいてもいいのかなと思います。
流通なんていうビジネスチックな単語が出た時点で気持ちは冷めがちですが、要は紅茶がどういった旅をしながら自分のところにやってくるのかを確認していきます。
ティーオークション
紅茶(原茶)の取引形態の一つに、ティーオークションというものがあります。
当初は英国のロンドンやオランダのアムステルダムなど、主要な貿易をしていた都市がメインでしたが、現状としては、生産地でのオークションのみがあり、ケニアのモンサバというところが最もオークションが多いようです。
ティーオークションの目的は、各メーカーの戦略に合わせた製品を供給することで、クオリティ、価格、競争力をキープしていくということになります。
プライベートセール
一方、プライベートセールは、ティーオークションに出される前に、ブローカーを通して直接買い付けの交渉をするものです。
“紅茶製品”の輸入について
紅茶製品の輸入形態は、次の二つの形態があります。
1.紅茶生産国(輸出国) → 消費/非消費国(”再”輸出国) → 日本(販売国)
紅茶生産国から原料茶が、消費する国または消費しない国に行き、そこでブレンドやパックされて日本へ行きます。
消費する国から来るものは製品として詰められるだけですが、消費しない国から来るものには付加価値の付いた製品として日本にやってくるイメージです。
2. 紅茶生産国(輸出国) → 日本(販売国)
紅茶の生産国から直接日本へ来ることはほとんどないそうです。
パッケージを見ても、確かに生産国はインドやスリランカといったいわば紅茶処として有名な国の表記をよく見ますが、輸入はまた別です。

付加価値のついたものについては、実は詳しくはわからないです。
茶園ごとによって様々だといえばそれまでですが、通常の工場とは別の特別な工場でわざわざブレンドするといったこともあるようです。良質な茶葉の更なる厳選もされているかもしれないので、そういったところに付加価値を見出している部分があるかもしれません。
“原料茶”や”ブレンド茶”の国内の流れについて
では、紅茶製品ではなく原料茶やブレンド茶についてはどうでしょうか。
基本的には、輸入→加工(ブレンドやパック)→いくつか卸→小売りといった形式です。
商社が輸入し、ブレンドやパックを行う加工業者に行き、紅茶以外のサービスでもよくある中間業者(卸売)にわたり、末端である店頭へ並ぶというものです。
商社から製品として取り扱う自社、そして店頭へ並ぶというほぼ直接的な中間業者を介さないルートもありますが、今はほとんど無いルートなのだそうです。
ティーテイスティング
紅茶が旅をする工程で、品質をしっかりと審査及び鑑定していく必要がありますが、そいれをティーテイスティングといいます。
ティーテイスティングは、グローバルスタンダードという世界共通の価値観の評価基準をベースにして、人の官能を駆使します。
ティーテイスター
きちんと専門家がいます。それがティーテイスターです。
ハイレベルな嗅覚と想定取引価格の判断が出来る技術を持ち合わせている事が必要です。
そのティーテイスターにも3つの種類があります。
現地生産者サイドのティーテイスターをプランターズ、現地における流通や転売・輸出に関わっているティーテイスターをブローカーズ&シッパーズ、輸入・消費国におけるティーテイスターをバイヤーズ&ブレンダーズといいます。
ブローカーズはオークション関係者、シッパーズはオークションメンバーでもあり、 バイヤーズ&ブレンダーズ は紅茶についての理解が広く、世界中の紅茶生産国のことを指しています。
ティーテイスティングとはどんなもの?
茶葉の外観、味、香りの審査・鑑定を、常に同一の条件で構成厳格に行います。
当然、使用する道具も同じでなければいけません。
茶葉の外観については、色、艶、サイズ及びその均一性、チップ量、よれ具合、重さ(比重が重い=良いお茶) を見ます。
香りの評価は、大きく分けて3つからなります。
1.甘く柔らかな広がりを感じるフルーティーな香り→中国品種系の茶樹
2.甘芳しいモルティ―フレーバー(麦芽を加熱したような香り)→アッサム品種系茶樹
3.軽く爽快に立ち昇る華やかでフラワリーな香り→中国品種系とアッサム品種系の交配種
味の評価については、渋み、苦味、ボディー感、甘味、旨味を確認します。

“心地よい良好な渋味“を表すパンジェンシーという鑑定用語があります。
また、抽出し終えた茶殻の評価もあり、指で触って硬さや弾力を確認します、香りを確かめることもあります。
ミルクティーでも審査される
意外にもCTC製法の紅茶はミルクを加えて審査されることが多いようで、ミルクを加えることによって色の変化が明確になり、明るい発色は良好、発色しないものや冴えない色であれば、マイナス評価になります。
風味についても、ミルクを加えてもしっかりとボディー感を持っているか、そして美味しく感じるかで高い評価が得られます。
まとめ
ワインのソムリエ、コーヒーのバリスタがあるように、紅茶にも専門家として審査・鑑定するティーテイスターがいますが、味や香りを判別するには、訓練だけではどうにもならない能力的な面もあるようです。
例えば、
“フレッシュ感があり、優雅かつデリケートな花の香りとやや強い爽やかな渋味“
といった紅茶の香味の表現があります。
これは、スリランカのヌワラエリヤという茶葉を表現していますが、はっきり言ってこんなのわかりません(笑)
味を頭の中に刻み付けたとしても、間違った表現をしてしまうでしょう。
そう考えれば、ティーテイスターは、紅茶に対するあくなき追及が、並大抵の意思ではなれない崇高な紅茶の専門家ではないでしょうか。
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